南北線六本木一丁目駅(日本IBM本社ビル)

日本IBM本社ビル

細い道を歩いて、北東方向へ向かう。
しばらく歩くと、さきほどの、東西に伸びる通りに出る。
その通りに入り、東へと、歩いていく。
さっき歩いてきた道なので、帰りは、それほど、長い距離、とは感じなかったが。
それでも、やはり、白金高輪駅までは、遠いなあ。
この距離感、というのは、ひょっとしたら、都心と田舎の風景、という、景観の違いからも、生じているのかな。
暑い中、やっと白金高輪駅まで辿り着き、南北線に乗り込む。
六本木一丁目駅で下車。
何度もエスカレータを乗り継ぎ、高台、山の手に出る。
この高台は、相変わらず、浮世離れのした雰囲気に満ちていて、長居は無用だと思ってしまうな。
いったん南へ歩き、途中、西へ。
六本木通りから分岐した、南北に伸びる大通りがある。
上空を首都高の高速都心環状線が通っている。
その大通りを渡り、少し北へ歩くと日本IBM本社ビルがある。
竣工は、高度成長期の終わり頃だ。
その西隣には、旧六本木プリンスホテル。(現在は、違うホテルになっている)
こちらの方は、バブル前夜の完成、ということらしい。
高度成長期からバブルの頃にかけて、六本木の華やかな浮かれた空気が、こんな場所にも流れ込んでいた、ということだろうか。
その華やかな空気の中で、六本木プリンスホテルも建ったのかな。
高度成長期以降、バブル期に至るまで、こんな風に、未来は、ずっと明るくて、不安なんて、まったく、なかったなあ。
だが、バブルは崩壊。失われた10年。そして、今は、格差社会
これらの建物が建った頃、将来が、こんな時代になるなんて、想像できなかったに違いないだろう。
そして、これらの建築物が、あの日本が成長を続けていた時代の夢の跡、なのかもしれない。
しかし、日本IBM本社ビルや六本木プリンスホテルは、近々、解体され、再開発されるらしいのだ。
日本の高度成長は、夢の跡さえ、残らないものなのか。
結局は、夢、ただ、それだけなのかもしれない。
(2008年7月記)