総武線錦糸町駅南口(富士ソフトビル)

富士ソフトビル

平井駅に戻り、再び、総武線に乗り込む。
錦糸町駅で下車。
南口に出る。
相変わらず賑やかだ。城東随一の繁華街、といったところか。
駅を出て、すぐ西側へ。
この一帯は、今も、ちょっと怪しげだが、昔は、大いに怪しげな場所だったな。
その中を、少し歩くと、富士ソフトビルがある。
竣工は、バブルが崩壊した後、失われた10年の終わり頃だ。
この高層オフィスビルが建ったからかどうかわからないが、一帯の怪しい雰囲気は、今は、影を潜めてしまったような気がする。
そうなってしまうと、なんだか、ちょっと寂しくなるから、不思議なものだ。
もっとも、昔の錦糸町は、ここだけが、怪しげな場所だったわけではない。あっちもこっちも、怪しいとこだらけだったのだ。
しかし、その、あちこちにあった怪しげな場所も、やはり、ここと同じように、どこかへ、消えてしまったような感じだ。
そんなかつての怪しげなところの中で、北口の小さいスーパー、というのを、よく覚えている。
北口は、再開発されて、現在は、高層ビルが建ち並んでいるのだが、その再開発が始まる前のことだ。
今もその店があるのか、確かめてないので、わからないが、たぶん、もうないだろう、と思う。
どんなお店だったのか、というと、アジアのいろんな食材を並べていたお店だった。
昔だと、このようなインターナショナルなお店で、一般的に入れる、というのは、横浜の中華街の中か、この錦糸町のスーパーぐらいだったんじゃないかな。
といっても、そのお店で、食材を仕入れて、エスニック料理を作ろう、なんて思ったわけでもない。ただ、冷やかしに覗いていたけだ。
そして、たまに、今まで、見たこともない、いろんな種類の果物の、缶ジュースを買って、飲んでみたりしたのだ。なかなか楽しい思い出だったな。
今は、いたるところ、整備され、きれいになってしまった。
そういう場所で、食べ物による異国情緒、というのを楽しむならば、たぶん、どこぞの多国籍料理だか創作料理のレストランでの食事、になっているのかな。
でも、もうそこには、あの頃のわくわくした興奮や好奇心を刺激するようなスリル、なんてないような気がする。
街から怪しげな場所がなくなっていくのはいいけど、やはり、ちょっと寂しい。
(2008年7月記)