総武線御茶ノ水駅(東京医科歯科大学医学部付属病院A棟)

東京医科歯科大学医学部付属病院A棟

錦糸町駅に戻って、再び、総武線に乗る。
隅田川を越える。浅草橋、秋葉原までが、城東の下町、という感じだ。
さらに西に進み、丘の上、駿河台の御茶ノ水駅に到着する。
駿河台、といえば、文京山の手の南端でもある。
駅の西側の改札を出ると、南北に伸びる通り。
南側は下り坂になっており、その先には、神保町の書籍店街がある。
北側は、文京山の手、なはずだが、東西に深い谷が刻まれていて、その底には、神田川が流れている。
北へ向かい、御茶ノ水橋でその神田川を渡り、北岸へ。
この川は、江戸時代、南流する河川を、強制的に東側へ向きを変えた結果、できた、人工河川だ。
だから、ゆったり、流れているのに、妙に、谷が深い。
橋を渡りきると、目の前には、東京医科歯科大学の校舎、病棟が建ち並ぶ。
その校舎、病棟群の中に、高層ビル、東京医科歯科大学医学部付属病院A棟がある。
竣工は、バブルの終わり頃だ。
バブル景気で思わず、建ってしまったのだろう。
その後、バブルは崩壊し、失われた10年を経て、都心集積化の時代がやってくる。
すると、西側には、この高層ビルよりも、はるかに巨大な建物が建ち始めるのだが。
まるで、御茶ノ水駅の南側の高層ビル群とくっつきそうな勢いだ。
さらには、南側の大手町と合わさり、最後には、北側の東京大学まで達するかもしれない。もっとも、そこまでは、ないだろうけど。
ところで、東京大学、というと、この東京医科歯科大学、というのは、歯医者さんの世界では、歯科医専門学校の中の東京大学、ということになっているらしい。
このでかいビル群を見上げていると、なんとなく、そんな感じがするな。
そんな歯医者さんの世界なのだが、自分も、歯医者には、大いにお世話になっているのだ。
学生の頃は、歯医者に行ったこともないのに、年を取ると、体も弱り、そして、歯も弱ってくる。
こんな風に、弱くなる、ということは、実に悲しい現実だけど。
この悲しい現実を、街の歯医者さんは、受け入れてくれるのだ。
でも、弱くなってしまった自分を、この巨大ビル群は、圧しつぶしそうにしているとしか思えない。それを見上げていると、どうしても思ってしまうことがある。
自分が、身を任せ、頼っているのは、壁のようにそそり立つ、この建築物ではなく、街の歯医者さんなのだと。
そうでなければ、なんだか、銀河鉄道999の結末に出てくる「ネジ部品」にされたような感じがする。
(2008年7月記)