千代田線桜田門駅(警視庁本部庁舎)

警視庁本部庁舎

向ヶ丘遊園駅に戻り、再び、小田急線に乗る。
多摩川を渡ると、その先は、高架複々線となる。
バブルの頃、えらい勢いで、この高架複々線の工事が始まったのだが。
結局、下北沢あたりは、高架にするのを諦めて、地下に変更になったらしいな。
だったら、最初っから、全線、地下でもよかったかもしれない。
田園都市線も地下なわけだし。
地形的に見ても、成城学園前駅から喜多見駅の間で、地上に出れば、自然な感じだ。
と、今さら言っても仕方ないけど。
たぶん、バブルの遺産、ということなのだろう。
ただ、田園都市線沿線のような、敷居の高い、閑静なだけの住宅街にならなくてよかった、と思う。もちろん、これは、訪れる側の勝手な言い分だけど。
代々木上原駅で千代田線に乗り換える。
桜田門駅で下車。
地上に出ると、北側は、皇居の濠。南側は、官庁街、となっている。
その官庁街の中で、桜田門駅近く、目の前、間近に聳えるている高層ビルは、警視庁本部庁舎だ。
竣工は、高度成長期の終わった後の安定期。
世の中もすっかり、平穏になり、この平穏さを守るためには、でかいビルでも建てなければ、と思ったのだろうか。
本当は、どうだか、わからないが、ただ、平穏な社会にあっては、この大きな建物、ずいぶんと、頼もしく見えたのは事実だ。
たしか、社会人になったとき、最初に見学させられたのは、この警視庁本部庁舎だったように記憶している。違ったかもしれないけど。
季節は、やはり、春だったかな。
まだ、幸福な時代。未来には、何も不安はなかった。
もし、不安があったとしても、警視庁本部庁舎の大きなビルがあれば、大丈夫だったわけだ。
そんな気持ちで、この高層ビルを見上げていた時代も、あったのだなあ。
そんな時代も、はるか昔に過ぎ去って、懐かしい思い出になってしまった。
(2008年8月記)