田園都市線駒沢大学駅(ヴィルヌーブタワー駒沢)

ヴィルヌーブタワー駒沢

246号線を今度は東に歩く。
しばらく歩くと、南北に伸びる環状七号線との交差点。
その交差点の南西側にヴィルヌーブタワー駒沢がある。
竣工は、やはり、失われた10年の終わり頃。
この時期、田園都市線の沿線に、こうして、高層住宅が建っていったのには、何らかの意味が、あったんだろうな。
ちょっと、この高層住宅の裏手に回ってみる。
建物の裏側は、普通、何もなくて、のっぺりしているはずなのだが。
この高層住宅の場合は、妙におしゃれな外観になっているので、驚いてしまった。
たぶん、交通量の多い大通りの側は、どうでもよくて、むしろ、閑静な住宅街、道路から見て反対側の方が、重要、ということなのだろう。
つまり、大通りの方に背を向けて、閑静な住宅街の方を、向いている建物なのだ。
騒がしい大通り側は、どうでも、いいのだろうな。
そう考えると、なんだか、この高層建築、閑静な住宅街を守る、防壁にも見える。
さらに言えば、交通量の多い大通りの近くは、住環境がよくないので、下町っぽくなるのだが、そういった場所を、高層住宅を建てることによって、人工の山の手にしているようだ。
すなわち、ヴィルヌーブタワー駒沢が建っている一画が、山の手に囲い込まれたように見えるのだ。
バブルの頃とは、様相が、根本的に違うな。
バブルの頃は、どうでもいい、自転車置き場やら、小さな公園までが、きれいに整備されたりした。
もっとも、そんなことやっていたので、バブルは崩壊してしまったのかな。
そういうわけで、バブルが崩壊して、失われた10年
バブル的な考え方は、すっかり消滅していき、かわりに、豊かさは、偏在せず、集中するようになったのだ。
そういったわけで、田園都市線の沿線、山の手の至近に、こうして、高層住宅が建っていったのだろうか。
本当は、どうだか、わからないけど。
とりあえずは、また、喧騒の大通り沿いに出る。
豊かさとは、縁のない自分にとっては、こちらの方が、ほっとしてしまうな。
そして、豊かさは、実際にあるのかもしれないが、こちら側にいる身にとっては、もはや、それは、たんなる幻想なのだと、実感してしまう。
(2008年8月記)