山手線原宿駅(セコム本社ビル)

セコム本社ビル

駒沢大学駅に戻り、再び、田園都市線に乗る。
渋谷駅へ。山手線に乗り換える。
原宿駅で下車。
駅前から伸びる竹下通りは、いつもながら、賑わっているな。
でも、賑わいすぎて、通りづらいので、別の道を通ることにする。
山手線に沿って、少し、北東に歩き、竹下通りに沿っている、小道に入るのだ。
こちらの方は、とても静か。それに、歩いていると、建物の隙間から、賑やかな竹下通りを垣間見られるので、そのことが、なんとなく、こちらの気分を楽しいものにしてくれる。
そうして、歩いていくと、東郷神社の境内へ入ってしまう。まるで、いつの間にか、迷い込んでしまった、そんな感じだ。
森閑とした境内を歩いていく。
途中、東側に、ちょっとした池があったりして、都心の中とは思えないような景観。
さらに南へと進む。
すぐに、東西に伸びる明治通りに出られるのだが、その手前、明治通りの北側にセコム本社ビルがある。
竣工は、失われた10年の終わり頃。ということは、この高層ビルも、田園都市線沿線の高層住宅と同じ時期の竣工、ということだ。
ところで、この場所には、以前、東郷女子学生会館、という、女子学生専用の寮があったらしい。
まわりは、東郷神社の境内なので、安心だったのだろうか。
本当に、神社の厳粛な雰囲気、そのことにより、安心が保たれていた、とするなら、一昔前の、のんびりした時代が偲ばれるな。
だが、現在は、安心、というものも、利潤と引き替えに、企業が担うものらしい。
ということで、この場所には、かくのごとく、セキュリティ会社の高層ビルが、取って代わったのだろうか。
安心、安全、というものも、豊かさと同じで、遍く偏在するのではなく、集中するようになったらしいな。
高層ビルを訪ね歩いていると、こんな風に、時代の流れが、時として、思わぬ姿で立ち現れるような気がする。
でも、その時代の流れが、いい方向に向かっているなら、気分もいいのだが、そうでないとすると、とても、つらいなあ。
(2008年8月記)