銀座線赤坂見附駅(元赤坂Kプロジェクト)

元赤坂Kプロジェクト

赤坂サカスのビル群の東側を、南北に伸びる一ツ木通りに入り、北へ歩く。
この一ツ木通りから東側、外堀通りまで、ちょっとした、飲食店などがあり、栄えていた頃の往時を偲ばせている。
もっとも、休日の昼間だからだろうか、閑散としていて、誰もいないけど。
そんな一ツ木通りを、どんどん北へ歩いていくと、東西に伸びる大通り、青山通りに出る。
その青山通りの北側に元赤坂Kプロジェクトの工事現場。
この場所には、かつて、鹿島建設本社のビル群があったのだが。
今はなき、高層ビル、鹿島建設本社ビルの竣工は、高度成長期の頃。たぶん、まだ、南側の赤坂の繁華街が、賑やかだった時期だな。
そういえば、この高層ビル、ウルトラセブンの「第四惑星」という話に登場している。
第四惑星、というと、題名の通り、舞台は異星、なのだが、おそらく、この話においては、それは、未来、あるいは現実世界の暗喩、ということなのだろう。
その未来、ということを、表現するために、無機質なデザインの鹿島建設本社ビルが、選ばれたのだ。
たぶん、昭和の赤坂の繁華街から見て、この高層ビルは、本当に、未来的に見えたに違いない。
ストーリー的には、暗澹とした未来だったのだが、あの頃は、たしかに、未来像、というのがあったのだ。
そして、時代はどんどん過ぎ、その未来へと向かっている、はずなのだが。
だが、未来に相応しいはずの、鹿島建設本社ビルは、未来が来る前に、なくなってしまったな。
未来が来るまで、間に合わなかったのかな。
そうでもないようだ。なぜなら、来るべき、未来も、いつの間にか、消滅しているからだ。
今は、格差社会。今を、生き延びるだけで、精一杯。未来なんて、考えている、余裕はない。だから、未来像なんて、消えてしまった。
そもそも、格差社会の延長線、なんて、想像もしたくないし。
そんな格差社会に、そもそも、未来があるわけもないし。
あるのは、格差社会の今と、未来を夢見た昔の、その頃の未来の残骸。
その未来の残骸も、今、目の前から消失してしまったのか。
(2008年9月記)