南北線川口元郷駅(エルザタワー32)

エルザタワー32

高田馬場駅から東西線飯田橋駅南北線に乗り換える。
南北線は、一路、北へ、埼玉県へと進んでいく。
荒川の地下を通って、北側、埼玉県川口市に着く。
川口元郷駅で下車。
駅の南側から地上に出る。
駅の北側から出れば、駅前広場があったらしいのだが。
南側からだと、普通の住宅地に、突然、出てしまった、という感じだ。
細い道を、東へと歩いていく。
帰り道が判らなくなると、困るので、小さな祠の場所を記憶に留めておく。
行きは、埼玉県で最も高い高層ビル、エルザタワーがあるので、遠くからでも、わかりやすい。
しかし、帰りは、変哲のないマンションが、点在するだけの住宅地なので、たぶん、道に迷うだろう、と思ったのだ。
南北に伸びる通りに出て、南へと歩いていく。
迷いそうだと言いながら、実は、この南北に伸びる道、以前、歩いたことがある、ということを思い出した。
エルザタワーの工事現場を見るために来たのだ。
その頃は、もちろん、南北線は、開通していないので、川口駅から、延々と歩いた。
辿り着いてみると、一帯は、湿地と朽ちかけたような工場しかなかったな。
今、歩いている、この道も、その頃は、田舎道そのもの、という雰囲気。
湿地帯とアスファルトの道路との境界がないような状態だった。
今は、マンションが、それなりに建っていて、市街化されている。
そのような道を、どんどん南へと進んでいくと、道路の東側に、巨大なエルザタワーと、その南に、ちょっと、小型のエルザタワー32がある。
竣工は、失われた10年が終わった後の集積化の時代。
これらの高層住宅の建設、川口の街外れの再開発なのだろうが、エルザタワー32が建つ少し前に、南北線が開通し、川口元郷駅ができている。
だから、やはり、エルザタワーも、最近、多い、駅近くの高層住宅の一つなのだろう。街外れ、というわけでもなさそうだ。
こんな風に、鉄道が通り、駅ができれば、湿地帯も、あっという間に、高層住宅街に早変わりする、というわけか。
この場所には、湿地帯だった頃にしか、来たことはないので、このような急激な変貌を目の当たりにすると、自分が、時代に取り残されたような気がしてしまうなあ。
(2008年9月記)