京浜東北線大井町駅(新阪急大井ビル工事現場)

新阪急大井ビル工事現場

また、延々とペデストリアンデッキを通って、駅へ戻る。
たしかに便利だな。これなら、地面に降りようとは、思わなくなるかもしれない。
買物ならラゾーナ川崎もある。
でも、こうなると、空間の移動に、情緒が、伴わなくなるな。
どこに行っても、同じものがあるからだ。
それでも、いいのかもしれないが。旅情に浸りたければ、旅行すれば、いいわけだし。
便利な世の中になった、ということか。
川崎駅で、再び、京浜東北線に乗り込む。
大井町駅で下車。
西口に出る。
きれいに整備された、駅前広場。
いつもながら、街の景観は、落ち着いた感じがする。
たぶん、南側、大森あたりの、山の手の影響だろうか。
ただ、西から東へと、かつては、立会川、という川が、流れていたらしい。
川沿い、ということは、下町がある、ということなのだが。
実際、駅西口の南側には、ちょっとした下町が広がっている。
このように、大井町は、下町っぽさと、上品さが、合わさった街なのだ。
そんな大井町の駅前広場を南へ歩く。
少し歩くと、駅前広場の南側には、ほんの少し前に、阪急デパートがあったのだが、今は、新阪急大井ビル工事現場、となっている。
この阪急デパートが、大井町の上品さを、代表していたように思うのだけど。
もう、なくなってしまったのか。
ふと、さっき訪れた、川崎の駅前の光景が、よぎってしまう。
跡地に高層ビルが、完成すると、ひょっとしたら、駅から、ペデストリアンデッキが伸びるのかな。
そうなると、川崎と変わらなくなるではないか。
そうなったとしても、時代の流れなので、仕方ない。
新阪急大井ビル工事現場も訪れたし、肌寒いので、もう、帰ろう。
そして、映画「時代屋の女房」でも、見ようかな。
その映画は、昔の大井町界隈が舞台になっている、ということだ。
将来は、その地域が持つ、情緒、といったものが、なくなってしまうとすると、こんな風に、映画や小説、といった作品を見るしかなくなるのかもしれないな。
(2008年9月記)