山手線品川駅(都営港南四丁目第2アパート)

都営港南四丁目第2アパート

また、ペデストリアンデッキを通って、北へ。来た道を引き返す。
便利だけど、駅の外に出た、という感じがしないなあ。
実際、本当に、建造物の外には出ていないんだけど。
品川駅前に戻り、エスカレータを下って、やっと、地面に降り立つ。
もっとも、地面に降り立っても、特に、商店街みたい場所があるわけではないので、やっぱり、駅前、という感じではない。まだ駅構内のような気分。
いつものように、東に伸びる、ちょっと細い道を歩いていく。
この道が、品川駅東口にあって、唯一、普通の駅前っぽい感じがするのだが。
でも、最近になって、道の北側にあった、中日新聞社がなくなり、その跡地に高層ビルを建てる工事が始まった。
数年後には、すっかり様変わりするだろうな。
やや細い道を歩いていくと、南北に伸びる、旧海岸通り。
その幅広の通りを渡ると、その向こうには、高浜運河がある。
意外なほど、運河の幅は広く、急に視界が広がり、爽快な気分になる。
高浜運河を御楯橋で渡る。
その先は、高層住宅が建ち並ぶ一帯、となっている。
さらに、東へ東へと歩く。
通りの南側には、海洋大学の敷地。海が近くにあることを感じさせるな。
やがて、南北に伸びる、交通量の多い、幅広な海岸通りへ。
上を首都高羽田線の高架が通っている。
海岸通りを、少し北に進むと、通りの東側に都営港南四丁目第2アパートがある。
竣工は、バブルが崩壊した頃だ。
景気が傾くと、このような、公共の建物が建つものらしい。
そういえば、都営港南四丁目第2アパートを見上げていたら、昔のことを、思い出してしまった。
この高層住宅ができあがった頃、まわりには、本当に、倉庫と水産大学(現海洋大学)しかなかったんだっけ。
高層ビルがあるとしても、はるか南側、天王洲アイルぐらいか。
その天王洲アイルまで行くために、さっきのコースを辿り、さらに、海岸通りを、延々と歩いたものだ。水産大学の敷地と海岸通りの間には、高い塀が、果てしなく続いていたな。
あれからすぐに、高層住宅が、何棟も何棟も建っていった。
でも、今、まわりを見渡しても、なんだか、雰囲気は、寂れた倉庫街のまま。
ちょっと虚しい感じがしてしまう。
(2008年10月記)