都営大江戸線勝どき駅(勝どき一丁目アパート1号棟)

勝どき一丁目アパート1号棟

晴海通りを南東へと歩いていく。
銀座の東側には、築地の街が広がっているはずなのだが、今では、すっかり、小さいビルが建ち並び、その面影はない。
といっても、もともとは、築地料亭街だったはずなので、面影が残っているとすれば、歴史テーマパーク、ということになるのだろうか。
ひょっとしたら、寿司屋が多いのは、築地市場が近くになるから、というより、かつて、料亭街だった、という名残なのかもしれないけど。
南西に伸びる、新大橋通りを越えると、南側に、その築地市場が広がっている。
実際の築地市場は、もっと南側なのだが、晴海通りに沿った部分には、築地場外市場があって、一般的な築地市場のイメージは、そちらの方なのかもしれない。
いつも活気のある雰囲気のする、そんな築地市場の前を過ぎると、隅田川に架かる、勝鬨橋、となる。
その勝鬨橋を渡っているとき、大きなトラックが通るたびに、ガクンガクンと、震えるのは、この橋が、跳開橋だからだろうな。
かつて、隅田川を大きな船が通るとき、勝鬨橋は、中央部が割れて、上に持ち上がり、開いていたのだが、今でも、その構造は、残っているらしい。
このガクンガクンという震動から、この橋が開いていたときの、壮大な情景が、浮かぶとしたら、想像力が豊か過ぎるのかも。
橋を渡ると、勝どきの街、となる。
忘れられ、取り残された街並みは、今はもうすっかり姿を消してしまったけど。
北東側の、月島、もんじゃストリートは、残ったのに、こちらは、残らなかったようだな。
さらに、南東に歩く。
清澄通りとの交差点があり、その手前で、北東側に入ると、勝どき一丁目アパート1号棟がある。
竣工は、失われた10年が終わった後、集積化の時代の頃だ。
その頃から、勝どきには、高層住宅が建ち始めたのかな。
こんなふうにして、忘れられた場所は、そのまま、忘れられたままで、残ることは、ないものらしい。
そして、思い出だけになっていくのだ。
(2008年11月記)