京浜東北線大井町駅(時代屋の跡)

時代屋の跡

JRの川崎駅に着き、京浜東北線に乗る。
大井町駅で下車。
次の目的地は、大井町なのだが、大井町、と言えば、「時代屋の女房」、ということになる。
その「時代屋の女房」ゆかりの場所を、ちょっと、訪れることにする。
この作品、バブル直前ぐらいに世に出たのだが、小説も映画(夏目雅子が出演している)も、当時は、ずいぶん、流行ったな。
ただ、売れていた当時、特に、読みもしなかったし、見もしなかったけど。
最近になって、遅ればせながら、見ようと思ったのだが、映画の方は、とりあえず、DVDが、まだ、残っていた。ただ、小説の方は、もう、ない。単行本になっている、自選集に収録されているのを、やっと、見つけたぐらい。
この作品の作者の文庫本、ちょっと前には、本屋に、ずらっと、あったのに、今や、一冊もないのだ。まさに、「時代」の流れを、感じるなあ。
あらすじは、以下の通り。
ある骨董屋に、若い女性が、ふらっと、現れ、いつの間にか、住み着いてしまう。
夫婦みたいに、暮らし始める、骨董屋の主人と若い女性。だが、その若い女性、突然、ふっと、何日間か、いなくなってしまう。
それが、重なるたびに、骨董屋の主人、愛惜の情が、高まってくる。
そして、ついに、最後には、胸も張り裂けるほどの状態になってしまう。だが、若い女性は、いつものように、けろりとして、戻ってくるのだ。そこで、おしまい。
結局、情が移った、という、お話、なんだろうけど。それが、なんで、小説たりえたのだろうか。そんな風に、難しく考える前に、まず、その舞台を訪ねてみよう。
駅の西側に出て、線路に沿って、南へ。
ちょっと前まで、通りの西側に、阪急デパートがあったのだが、今は、工事中で、更地になっている。
その阪急デパート跡地の南側から、南西方向に、三ツ又商店街が、伸びている。
かなり前に来たときは、ちょっと、下町っぽかったのだが、今、通ってみると、今風のお店が、並んでいて、拍子抜けしてしまったが。
少し上り坂になっている、その三ツ又商店街の端まで行くと、三叉路の交差点がある。
その交差点には、歩道橋があって、歩道橋の螺旋状の階段の下に、狭い駐車場。
そう、この駐車場に、時代屋が、あったのだ。
映画のまんまだなあ。えらく、感動してしまった。
もっとも、映画のまま、なのは、歩道橋と、時代屋の向かいにある、お地蔵さん、ぐらいなんだけど。
それに、まわりのお店は、当時は、下町っぽい、普通の商店街のお店なのだが、今は、おしゃれっぽいお店だらけになっている。
ただ、全体的に見ると、映画のまま。本当に、感動してしまったな。
(2009年4月記)