副都心線西早稲田駅(麓から箱根山を臨む)

麓から箱根山を臨む

戸山公園内に入ると、木々が鬱蒼と生い茂り、森閑とした、雰囲気に包まれている。
そんな静寂の森の中、いきなり、上り坂。
もう、箱根山の裾野かな、と思ってしまう。
箱根山は、江戸時代に、土を盛って作られた、人造の山なのだが、いったい、裾野まであるものだろうか。
たぶん、ちょっとした、丘は、最初から、あったかもしれないな。
ところで、何で、こんなところに、巨大な人造の山が作られたのだろう。
それは、この一帯に、大名屋敷の、広大な庭園、戸山山荘があったから、ということなのだが。
そして、その庭園の中の、築山として、箱根山が作られたのだ。ちょっと、大きすぎるような気もするけど。
さらに、その箱根山の近くには、小田原宿にある宿場町の建物の、原寸大模型まであったらしい。(だから、築山の名前が、箱根山、なのかな)
もちろん、大きな池も配されていたし、また、人工の滝も、設えてあったようだ。
なんとも、かなり、凝ったつくりの庭園だったみたいだな。
今に残っていれば、後楽園みたいな存在になっていたに違いないと思う。
だが、その庭園は、今はもう、跡形もなくなってしまった。
残ったのは、築山だけなのだな。
そんな、江戸時代の夢の跡に思いを馳せながら、箱根山を目指す。
公園内の道は、鉄道のスイッチバックみたいに、ジグザグな登り道。
そういう道を無視して、そのまま、直接、ずんずん、登ってしまうこともできるんだろうけど。
坂を上りきると、こんもりとした、小山と、その山頂部に通じる、階段が現れる。
たぶん、人造の山は、ここから、という気もする。
目の前の階段を登れば、山頂。そこへ行けば、遙か昔の、大名が、見ていた、ものが、果たして見えるものだろうか。
(2009年5月記)