副都心線西早稲田駅(箱根山山頂)

箱根山山頂

階段を、とんとん、登っていくと、たちまち、山頂に達する。
案外と、あっけないものだ。
山頂部は、不自然なほど、広くて、テラスのようになっている。
たぶん、江戸時代の頃も、同じだったんじゃないかな。
それが、人造たる所以なんだろうけど。
ただ、山頂からの眺望は、まったくない。
麓から生えている、木々の方が、山頂よりも高いぐらい、だからだが。
でも、下を見下ろすと、さすがに、迫力があるな。
江戸時代は、箱根山の下に、さらに、町屋を模した、建物が、並んでいた、ということだから、ずいぶんと、楽しい光景だったに違いない。
このテーマパークのような、大庭園、その後、どうなってしまったのだろう。
明治時代になると、軍関係の施設になった、ということだ。
箱根山の東側には、軍楽隊、陸軍戸山学校、などがあったらしい。
そして、その、さらに東側には、陸軍軍医学校防疫研究室、なんてのもあった。
例の731部隊と、密接に関わっていた施設。詳細は、わからないのだけど。
ただ、言えるのは、この話が、センセーショナルに登場したのが、たしか、バブル前の頃だった、ということだな。
本当は、センセーショナルなだけでは、いけないのだけど。
たぶん、高度成長を達成して、安定期に入った、という時代背景が、このような、センセーショナル、を求めたのかもしれない。
結局のところ、暗部は、闇の中、になってしまうのかな。
頂上から、下界を見ていると、そんな、いろいろなことがあったなんて、思えないほど、静かだなあ。
奇想な大庭園も、深い時代の闇も、今は、静寂の森の中。
さて、いつまでも、山頂にいても仕方ない。
下山するかな。
(2009年5月記)