山手線新宿駅(新宿駅西口地下ロータリー)

新宿駅西口地下ロータリー

高田馬場から山手線に乗り、新宿駅で下車。
ホームから地下へと降りていく。
地下道を西へ。改札を出て、地下街を少し歩いていくと、目の前には、ロータリーが、現れる。
地下に地下街があって、地上に広場やロータリーがあるのなら、わかるのだが。
地上にも、地下にも、広場がある、というのは、たぶん、新宿駅西口だけだろうな。
完成したのは、高度成長期の頃。まだ、西新宿高層ビル街は、姿を、現していなかった時期だ。ただ、もう、工事が始まろうとしていたかもしれない。
時期的に見れば、高度成長期の目指していた、近未来の世界が、この新宿駅西口地下広場、なのかな。
でも、結局、何を目指していたのか、わからない。
歩いていても、通路ではなくて、明らかに、広場なので、歩行者の流れができにくく、歩きづらいのだ。
それに、ロータリーでは、タクシーに乗れるようになっているようだが、大いに利用されているとも思えないし。
たぶん、高度成長期の末期、新宿駅西口地下広場で、反戦フォーク集会なる活動が、しばしば、あったらしいが、それが、この広場の、本来の、目的だったのだろうな。
フォーク集会なら、今の、路上ライブみたいで、賑やかでよかっただろう。
だが、そのような集会は、長く続くことはなかったようだ。
実際、改札を出て、そのまま、ロータリーで、タクシー、ひろって、帰宅する、通勤者が、いるとは、思えないけど、西口バスターミナルに行くには、この広場を、通過しなければならない。だから、集会は、邪魔といえば、邪魔かもしれない。
ということで、経済も豊かになったし、生活と、その生活を支える範囲内で、仕事のことだけ、考えれば、よくなったのだ。
そして、仕事と自分の生活の間を、一直線に、歩いていく。途中で、停まったりはしない。
バブルが、崩壊しても、歩くだけ。
ついには、格差社会になってしまったが、それでも、まわりを見ずに歩く。
あたかも、歩くことが、解決の方途であると、錯覚しているみたいに。
最後には、今のような、世の中になってしまったってことだ。
それでも、下を見ながら、もう、わけもわからず、歩くしかない。
(2009年5月記)