山手線新宿駅(税務署通り)

税務署通り

細い道を北へ北へと、歩いていく。
突然、開けた場所に出た、と思ったら、税務署通りだった。
新宿の北側を、東西に伸びる、大通りだ。
山手線から東側は、職安通り、というのだが。
こんなふうに、同じ通りなのに、名前が違うのは、開通した時期が、違うから、なのかもしれない。
実は、税務署通りが拡幅されて、今のように、幅広の通りになったのは、ごく最近のことなのだ。
ちょっと前まで、ごく狭い通り、しかも、両脇には、商店の並ぶ、通りだった。
昔、何度か、通ったので、その頃の光景を、まだ、覚えている。
魚屋、焼鳥屋、なんて、あった。
そんな庶民的な通りは、今や、幅広の大通りになってしまった。もはや、あの頃、見た情景は、まったく、残っていない。
ところで、この税務署通りを、まっすぐ、西へ行くと、以前は、T字路になっていたな。
交番があるからか、どうか、わからないが、信号がなかったように思う。
それなのに、タクシーが抜け道として、やたらと、通っていて、危なくて、しょうがなかった。
今は、税務署通りが、その、さらに、西へと、突き抜けている。
そして、青梅街道に合流しているのだ。
その青梅街道は、山手線東側、ガードを越えると、歌舞伎町に接しているので、そこからは、交通の難所になっている。
だから、税務署通りが、青梅街道のバイパス、ということになるのだろう。
都市機能の一環、というわけだ。
こう見てくると、つまり、都市、というのは、単に、人口が集中しているだけではなく、機能を備えている、ということがわかる。
もし、昔日の面影が残るとすれば、結局、テーマパーク、あるいは、山の手、しかないのだ。
そうとは、わかっているけど、やっぱり、昭和の街並みが、消えてしまうのは、ちょっと、寂しい感じがするな。
(2009年5月記)