銀座線虎ノ門駅(地面に打ち捨てられし住宅地図)

地面に打ち捨てられし住宅地図

誰もいなくなった、街中を、巡っていて、ふと、下を見たら、住宅地図の表示板が、落ちていた。
よく、通りに面した壁などに、掲げてある、住宅地図。
地図の示している一帯が、消滅寸前で、すでに、住民もいないし、あたりは、静まり返っていているばかり。
だから、もう、住宅地図など、無用なので、当たり前か。
でも、なぜか、侘しい感じがする。なぜなんだろう。
たぶん、こういうことかもしれない。
かつて、その地図に載っている、家々の中には、生活があり、人生があったはずだ。
家族、社会、近所付き合い、悲しみも、喜びもあったはずだ。
だから、それらが、一緒くたに、地面に、打ち捨てられているような、そんな気分になってしまうから。
それは、たんなる、気のせいなのかな。
そういえば、ここの再開発計画、いよいよ、来年後半、遅くとも、再来年には、始まるようだ。
もし、その再開発が完成すれば、都心部の中心が、再開発地のある南側へ、拡大してくるかもしれない。
例えば、今までは、霞ヶ関の官庁街、オフィス街があって、西新橋、虎ノ門の街並みがあったのだ。
そういった街並みが、大変貌するのだろうか。
どうなるか、わからないけど。
ただ、はっきりしてるのは、今、見下ろしている、住宅地図、もう、すっかり、忘れ去られてしまう、ということだな。
時代の流れなので、仕方がない。
ゴーストタウンを後にして、さらに、西へ向かう。
(2009年6月記)