南北線麻布十番駅(取り壊し中の麻布十番温泉)

取り壊し中の麻布十番温泉

それにしても、賑やかだな。
ただ、この、賑やかさは、どこかの、下町商店街の賑やかさとは、異質だ。
なんだか、日本橋と代官山を、足して、二で割ったみたい。
残念なことに、日本橋も代官山も、できれば、行きたくは、ない場所なんだけど。
ということで、足は早まり、どんどん、坂を登っていく。
登るにつれ、山の手住宅街の中へ。
ますます、困ってしまう。本当に、自分には、似合わない土地柄だなあ。
すぐに、踵を返して、もと来た道を引き返す。
そういえば、麻布十番温泉を見に来たのだった。
あまりに場違いな場所に来てしまったので、取り乱してしまったな。
少し、北側に向かうと、工事用の柵に、囲われた、一画があった。
間違いなく、麻布十番温泉の跡地だ。
最近、廃業したことは、知っていたけど、早くも、取り壊してしまったわけか。
まわりを見渡しても、温泉、という雰囲気は、微塵もないから、仕方がないのだろう。
スパ、とかの方が、お似合いかもしれないな。
もうなくなってしまったが、麻布十番温泉も見たことだし、早く、ここから、脱出しよう。
ところで、ここに来てみて、なるほどと、気付いたことが、一つだけある。
東京中を、こうして、巡って、あちこちの駅で、乗り降りしてきたわけだが、麻布十番駅は、とにかく、きれいな女性が多いのだ。目の保養になっていいのだけど。
はっきりとした、理由はわからないながらも、近くに、モデルさんの事務所みたいなものが、あるのかな、と素朴に思っていた。
麻布十番商店街に来て、ここが、その、きれいな女性の、発生源だとわかったのだ。
もちろん、商店街に、モデルさんの事務所があるわけではない。
ここから、坂を登った場所、麻布山の手住宅街から、来ているのだろう。
そうとわかると、やっぱり、という思いと、興醒めな思いが、ちょっと、湧き上がってくるな。
麻布十番商店街に来ることは、たぶん、もう、ないと思うので、どうでもいいことなんだけど。
(2009年6月記)