東西線南砂町駅(南砂町駅周辺)

南砂町駅周辺

高田馬場から東西線へ。
南砂町駅で下車。
西側の改札を出て、地上へ出る。
地上に出ても、まわりには、まったく、何もないなあ。
東西線の駅の中でも、もっとも、辺鄙な駅だろう。
そんな南砂町駅なのだが、かなり前に、何度か、降り立ったことがある。
そのときは、東側の改札を出たのだ。
地上に出ると、たしか、北側に、広い広い、公園があったっけ。
その公園を、適当に、北へ北へと、突っ切っていくのだ。なにせ、他には、何もないのだから。
公園の西側には、今では、広い道路があるらしいが、あの頃は、まだ、道路はなかったな。いかにも、道路が開通しそうな、雰囲気だったけど。
あとは、鄙びた中華料理屋が、ぽつんとあったり。そして、昔ながらの団地。
さらには、工場地帯、というわけでもないが、あちこちに、小さい工場。
典型的な、昭和の、江東埋立地だ。昭和の忘れ物みたいな感じだった。
もっとも、埋め立てられたのは、江戸時代。砂ばかりなので、砂町、なのかな。
一見すると、荒涼としただけの、場所だったのだが。
それでも、たしか、来たときは、バブルの頃だったので、そこには、なんか、浮き浮きした雰囲気はあったな。
ところで、南砂町駅へ、どうして行っていたのかというと、かつての同僚が、その、何にもない、江東埋立地に、勤めていて、何回か、会いに行っていたのだ。
こんな土地柄でも、バブルのこととて、地主がまず手を出すのが、まず、中華料理店。店を出して、コックさんを呼んで、そんなお店が、近頃、あちこちにある。
などというファンタジックな話を、今でも、まだ、覚えているな。
結局、何もないので、その、中華料理店でラーメン食べて、また、駅に戻っていく。
夜も更けて、野原みたいな、広い公園を歩いて、南砂町駅へ向かう道すがら。
何にもなかったけど、でも、たしかに、未来は明るくて、世の中は、わくわくした、雰囲気に包まれていた。
(2009年7月記)