山手線上野駅(上野公園擂鉢山古墳)

上野公園擂鉢山古墳

上野公園の中を北へ進む。
公園内は、木々が、多く、上野の森、という感じ。
ただ、道は幅広で、広場もあり、鬱蒼としているわけではない。
ほどよく、日の光が、地面に届くようになっている。
そんな中、さらに、北へ歩くと、目の前に、こんもりとした森を戴く、小さな山。
擂鉢山古墳だ。
かつては、他にも、いくつか、古墳があり、古墳群を形成していたらしい。
古代の昔から、住民が暮らしていたわけだ。
さらに言えば、実は、上野の山にあるのは、古墳だけではない。
弥生時代、および、縄文時代の遺跡まであるのだ。
ということは、太古から、ずっと、継続的に、暮らしがあった、ということだな。
上野の山は、とても、居心地のいい場所だったに違いない。
ところで、古墳が完成した後は、どうなったのだろう。
おそらく、国がまとまって、ほどなくして、擂鉢山古墳付近に、五條天神社が創建されたのかな。
日本中、いたるところ、同じようなことが起こっていたのだろう。
そして、その後は、……。
もう、まったく、わからない。
たぶん、季節が、何度も、何度も、繰り返し、そして、住民が、何代も何代も、入れ替わり、ずっと、平和な時が、流れていた、と思う。
大きく変わったのは、戦国時代が、終わって、江戸の街が、作られた頃。
最初は、大名屋敷、次いで、すぐに、寛永寺が、創建されるのだ。
でも、広大な寛永寺の境内の中、やっぱり、静かに、時が、流れていたに違いない。
太古の昔と、結局、雰囲気は、同じだ。
公園になった今も、同じく、こうして、静かに時が流れている。
(2009年8月記)