西武新宿線東村山駅(前川弁天橋)

前川弁天橋

細い道を、北へ北へと、歩いていく。
途中、道は、北へ流れる小川、前川の東岸を、沿うように伸びている。
この細流、水が透明なのだ。驚いてしまったな。
水は、普通、透明なので、驚くには当たらないんだろうけど。
ただ、都心近くだと、濁った水しかない。都心の方が、例外なのだが。
そういえば、「となりのトトロ」の主人公、サツキとメイが、初めて、作品の舞台に、登場したとき、家の前を流れる、小川の、透明な水に見入っていたっけ。
きっと、同じような、驚きだったに違いない。
ところで、「となりのトトロ」のモデルになった場所についてなのだが、不勉強のため、てっきり、自分は、東村山の北西側だと思っていた。
そういうわけで、勘違いで、こうして、歩いているのだけど。
本当のモデルは、東村山の、はるか、北東側、所沢の東側、松郷、という場所らしい。作品にも、この地名が、使われている。
実は、昔、その松郷の南側を通る道路を、たぶん、二、三回は、クルマで通ったことがある。
でも、特に印象にも残っていないし、そもそも、田園だったかどうか。
ひょっとしたら、地名だけ、借りたのかもしれない。松郷に、実際、行ってみないと、なんとも言えないが。
話は、戻る。
前川に沿って、さらに、北へ進むと、弁天橋。近くに、弁天池があるから、弁天橋なのかな。
橋を渡って、前川の西岸へ。
北へと、歩き続けると、両脇には、生垣で囲われた、農家が並ぶ。
路面が、アスファルトでなければ、まさに、「となりのトトロ」に出てくる、農村風景だ。
北へと歩き続け、西武西武園線を越えると、一面、畑地が広がり、その向こうには、木々の生い茂った、丘陵地。
眼前に広がるのは、典型的な、里山風景だ。
どこか懐かしい、牧歌的な景色。
しばらくの間、立ち止まってしまったな。
なぜ、このような光景に、大きく、心を揺さぶられるのだろうか。
(2009年8月記)