東村山市諏訪町(八国山尾根道)

八国山尾根道

新山手病院の東側を、北へ伸びる、坂道を登っていく。
ついさっき、下ってきたんだけど。
下ってきたとき、わかったのだが、「となりのトトロ」で、サツキとメイ、お父さんが、七国山病院へ、お見舞いに行く場面、病院に着く直前に、山道の坂上から、病院の建物を見下ろすのだが、まさに、今、登っている坂道かな、と思ってしまう。
八国山の尾根道に出て、東へと歩いていく。
どうやら、期せずして、サツキとメイ、お父さんが、お見舞いに行ったコースを、辿っているようだな。
それはいいのだが、それにしても、やたらと、やぶ蚊が多い。
となりのトトロ」は、昭和30年代の設定なのだが、その時代は、やぶ蚊が、いなかったわけでもなかろうに。そういう点は、やはり、フィクションだ。
ところで、今回、東村山を訪れる前に、いちおう、「となりのトトロ」を見直したのだが、あらたに、発見したところもある。
その筆頭が、サツキについてだ。いったい、小学6年生の女の子が、スカートのまま、ばく転なんて、するものだろうか。
あと、トトロから、雨傘のお礼として、贈られた、木の実を笹の葉で包んだもの、その包みを結んである紐が、龍のひげ、なる代物らしい。「龍のひげ」って、何だろう。それに、なぜ、唐突に、「龍のひげ」、なのだ。
それと、さらに、もう一つ。最初に、サツキとメイ、お父さんが、七国山病院に、お見舞いに行くとき、自転車をこぐ、お父さんに、道を指し示しているシーンがある。ということは、サツキは、それまでに、何度か、松郷から七国山病院まで、行っており、あたりの地理に関して、完全に、把握していることになる。
これらのことについて、ちょっと、考えてみよう。
まず、第一の疑問、なぜ、サツキは、スカートのまま、飛び跳ねているのか。恥じらいがないわけではない。たぶん、幼児のメイと同化しているからだろう。同化している、というよりも、場面の中心が、メイ、なので、その邪魔にならないように、同化しているのだ。
メイが、ころんだり、帽子を落としたりして、立ち止まると、場面の動きも、止まっている。そうした場面の動きを見ていると、そう考えざるを得ない。
二つ目の疑問と三つ目の疑問は、似ているが、まず、二つ目から。
「龍のひげ」について。
「龍のひげ」、というのは、文字通り、龍のひげ、ではなく、植物の「龍のひげ」だろう。植物の「龍のひげ」は、よく、庭の中の小道脇などに植わっている、雑草みたいな、丈の低い植物のことらしい。庭を、持ったことはないので、自分には、まったく、見当もつかなかったが。
「龍のひげ」については、わかったが、では、そもそも、なんで、紐が、「龍のひげ」なのかな。あるいは、どうして、サツキには、その紐が、「龍のひげ」と、わかったのかな。そういう、使用例があるとは、思えないし。
最後。どうやら、サツキは、松郷から七国山病院までの地理的空間を熟知しているらしい。そればかりではなく、「となりのトトロ」の、ほとんどすべての場面について、唯一、知っているのではないか、と思えてしまう。
すべての場面について、知っているのであれば、紐が、「龍のひげ」、ということについても、知っていて、当然、なんだろうな。
主人公なんだから、と、言ってしまえば、それまでなんだけど。
さらに、もう少し、考えてみる。
(2009年8月記)