西武池袋線東久留米駅(取り壊される寸前の東久留米駅駅舎)

取り壊される寸前の東久留米駅駅舎

来た道を引き返す。
西武池袋線の線路に沿って、東へ。
秋津駅で、西武池袋線に乗る。
ここで、「となりのトトロ」について、もう一つだけ。
最後のなぞ。いったい、サツキの、どの時点からの追憶が、「となりのトトロ」なのか、ということだ。
宮崎駿は、ヒントになる、不思議なシーンを、用意している。
それは、以下の場面だ。
行方不明になったメイを探して、七国山病院への道へ、入ったところで、正面から、妙なカップルが現れる。
彼らの乗っているのは、3輪オートバイ、トライクというらしい。
男性は、カーボーイハット。荷台に乗った、女性は、白いドレス。
その場に、なんと、そぐわぬ雰囲気だろう。
このように、かなり、特異な風体のカップルなのだが、あっさりと、いなくなってしまう。
いったい、何のために、登場したのだろうか。
かれらと会わなければ、サツキは、七国山病院まで、行ってしまったのかな。そんなことはない、後から、自転車に乗った、カンタがすぐに、追いついていたはずだ。
だから、いてもいなくても、物語の流れには、まったく、影響はない。
もっと、詳しく、この場面を見てみる。
サツキが、メイのことを、尋ねたとき、荷台に乗った女性、リョウコさん、というのだが、彼女が答えている。
その時、オートバイのサイドミラーに、彼女の顔が写るのだ。
ミラーに、カメラを向けて、写せば、当のカメラも、写るのと、同じ。
ということは、リョウコさんは、サツキを写す、カメラを示している。
つまり、サツキを追憶しているのは、リョウコさん、のような、女性、ということなのだ。さらに言えば、リョウコさんは、何十年か経った後の、サツキに違いない。
そして、オートバイに乗っているのは、同じく、何十年か経った後の、カンタだ。
この場所を、通っていたとき、ふと、何十年か前、サツキとカンタが、出会った頃のことを、回想しているのが、「となりのトトロ」の世界かもしれないな。
突きつけられた、悲しい現実を、空想、ファンタジーが、乗り越えた、具体的な結実が、この、二人の姿だと思う。
となりのトトロ」の中では、トトロの呼んだ、ネコバスが、メイの行方不明事件を解決するわけだが。もちろん、現実的には、他の方法で、解決したのだろう。
ここらで、「となりのトトロ」からは、離れる。
次に下りる駅、東久留米駅に着いたからだ。
東久留米というと、「めぞん一刻」の舞台となった場所。
来る前は、あまり、期待していなかったけど、意外と、作品世界を、髣髴とさせる、風景があり、ちょっと、感激してしまったな。
ただ、作品に登場していた、「めぞん一刻」に出てきた、時計坂駅のモデル、東久留米駅の駅舎は、なくなる寸前だったけど。
(2009年8月記)