市川市国分(国分付近外郭環状道路工事現場)

国分付近外郭環状道路工事現場

荒野のような場所を、東へと、歩いていくと、やがて、南北に、伸びる道路に出る。
その道路に、沿うようにして、東側に、南へと、流れている、小川が一筋。
その小川の周囲には、湿地帯が広がる。葦原、というのだろうか、背の高い植物が、一面、なびいている。
おそらく、かつての、関東平野は、全体的に、こんな風景だったのだろう。
そんな光景の中、今度は、南へと、進んでいく。
西側一帯は、対照的に、丘陵地になっていて、木々の緑が濃い。
その丘陵地の一画には、下総国分寺がある。
昔、一度、下総国分寺は、訪れたな。
とても、長閑な雰囲気のなか、古雅な佇まいだったと記憶している。
もっとも、平安時代の創建から、連綿と、現代に到っているとは、思えないけど。
でも、江戸名所図会には、ちゃんと、載っている。江戸時代、歴史的価値のある建物として、再建されたとは、思えない。
とすると、連綿、ではないものの、そして、幾多の曲折は、あったものの、ひょっとしたら、今に到っているのかもしれない。
いったい、太古の昔から、どういう、歴史を辿ってきたのだろうか。ちょっと、興味深いことだな。
調べている時間はないけど。
ただ、目の前に広がる、一面、葦原の光景を見ていると、十分に、太古の時代に、思いを馳せることができる。
かつての、小高い丘の上にあった、下総国分寺から、見下ろした景色も、同じような、風景だったに違いないからだ。
なるほど、だから、国分寺が残ったわけか、と思えるな。
ところが、その湿地帯は、昨今、高速道路に、変わろうとしている。
そうなると、下総国分寺だけ、ぽつんと、残ることになるわけか。なんか、風情が湧かない。
歴史の流れなので、仕方がないけど。
(2009年8月記)