京浜東北線大井町駅(アワーズイン阪急)

アワーズイン阪急

京浜東北線に沿って北へ。駅前へ引き返す。
再び、駅前広場。
駅前広場の南西側には、アワーズイン阪急がある。
ある、というよりも、見えるようになった、というほうが、いいかな。
どういうことかというと、たまたま、今、手前の建築物が、工事のため、撤去されているので、アワーズイン阪急の建物が、駅前広場から、見ることができるのだ。
ただ、せっかく、見えるようになったけれど、残念ながら、再来年(2011年)には、取り壊されてしまうらしい。
そんなアワーズイン阪急なのだが、オープンは、高度成長期の終わり頃。
世の中が、ようやく、豊かになり、安定してきた時期だ。
誰しもが、ショッピングやレジャーを、生活の一環として、楽しめるようになったのだろう。
だから、アワーズイン阪急のような施設も、誕生したわけだ。
だが、半世紀も経たないうちに、なくなってしまうのか。
いちおう、リニューアル、ということだろうけど。実は、手前の工事中のビルが、それなのだが。
でも、このように、早々に、以前の施設が、取り壊されてしまうことを考えると、なんだか、高度成長によって、達成されたものが、実は、脆くて、儚いものだったんじゃないか、と思えてしまう。
自分の拠って立つ場が、砂上の何とか、だったと思えてしまうのだ。
実際、本当に、そうなのかもしれない。
なぜなら、アワーズイン阪急のような施設は、誰しも、利用できる、ものであったのに対して、新しく、リニューアルされる施設は、自分が、利用することは、まず、ないだろうからだ。
その建物を、外から、眺めるのが、唯一、可能なこと。
つまり、自分にとっては、リニューアルではなくて、拠って立つ場が、消滅したことになる。
半世紀も、もたずに、消え去るわけだ。
(2009年9月記)