山手線渋谷駅(キャットストリートの街並み)

キャットストリートの街並み

キャットストリートを、北へ北へと、歩いていく。
両側には、おしゃれなお店が、並んでいて、流行には疎い、自分にとっては、相当、場違いな感じだ。
一帯は、ファッションで、有名な、裏原宿、といわれる場所。
歩いていて、つくづく、縁遠い世界だな、と思ってしまう。
ところで、キャットストリート、という通りの名前、この裏原宿には、よく合っている気がするけど、特別な、謂れは、あるのだろうか。
名前について、考える前に、ちょっと、この通りの歴史を、辿ってみる。
高度成長期までは、おそらく、一帯は、ただの、住宅街の中の、静かな、遊歩道だったはずだ。
その景観が、変わったのは、高度成長が達成された後、安定期の頃だろう。
新宿、表参道から、原宿、渋谷へと、賑やかになり始めたのだ。
そのことを、象徴したのが、竹の子族。今、振り返ってみると、あの騒ぎは、いったい、何だったのだろうと、思ってしまうけど。
おそらく、世の中が、豊かになり、生活に余裕ができた、ということかもしれない。
そして、その賑わいは、やがて、静かな、住宅地の遊歩道にも、浸透していく。
おしゃれな店が、通りの両側を、徐々に埋めていき、今のようになったのだ。
それで、通りの名前、キャットストリート、についてなのだが、竹の子族が、登場した後ぐらいだろうか、この通りを拠点に、ブラックキャッツ、というバンドが、誕生し、一世を風靡した。
そのバンド名から、通りの名前が、キャットストリート、になったらしい。
もっとも、ここからは、想像なのだが、一帯が、まだ、住宅地の中の、遊歩道だった頃、ノラ猫が、たくさんいて、仲間内、あるいは、界隈では、すでに、キャットストリート、のような、名前があったのかもしれないな。
でも、そうだったとして、一般的な、通りの名前に、なっただろうか。どう考えても、ならなかったに違いない。
一帯が、流行の最先端になることによって、ただの、遊歩道は、「キャットストリート」になったのだ。
(2009年9月記)