東武伊勢崎線曳舟駅(鳩の街通り 私娼窟跡)

鳩の街通り 私娼窟跡

曳舟川通りを、南へと、歩いていく。
特に、目印など、ないので、いったん、通り過ぎてしまい、また、引き返す。
北西に伸びる、鳩の街通りの入口を、見付け、通りに入り、そのまま、北西へ。
昔は、その筋では、かなり、有名な、通りだったらしいのだが、今は、ごく普通の、静かな、細い路地でしかない。
だから、わからずに、通過してしまったのだろう。
それで、どのように、有名だったのかというと、赤線地帯、色街として、賑わっていたのだ。
そう言われてみれば、通りの両脇に並んでいる建物、その手のお店だったことを、うかがわせるような感じがする。
そんな鳩の街通りなのだが、終戦後、しばらくして、できたらしい。
それ以前は、今の、東武伊勢崎線東向島駅の北東側、玉の井に色街があったのだが、戦災に遭い、こちらに、移ってきたのだ。
ところで、玉の井といえば、すぐに、思いつくのは、永井荷風の「ぼく東綺譚」。
といっても、いまだに、読んでいない。映画化されているので、DVDでもいいのだが、あんまり、見る気もしないな。
今度、予習してから、かつての、玉の井に行ってみても、いいけど。
ただ、ちょっと前に、永井荷風作、あめりか物語、というのを手に取ったことがある。
最初のところで、放り出してしまった。
この作品の主人公、何しに、アメリカまで行ったのか、よくわからないのだ。
読んでもいない「ぼく東綺譚」について、語るのは、無責任だが、ひょっとして、読んでみたら、あめりか物語と同じような、感想になるかもしれない。
すなわち、初老にもなる男が、連日、色街に入り浸って、いったい、何をやっているんだ、と。
もっとも、そういうところが、限りのある、生の儚さを、表現しているのかも。
よくわからないが。
とにかく、気が向いたら、「ぼく東綺譚」でも読んで、玉の井に行ってみるかな。
(2009年9月記)