京浜急行六郷土手駅(大田区 六郷温泉)

大田区 六郷温泉

京急川崎駅で、京浜急行に乗り込む。
多摩川を渡ると、すぐに、六郷土手駅
改札を抜け、駅前へ降り立つ。
目の前には、懐かしい、鄙びた街並み。
まるで、かつての、川崎駅前のようだ。ちょっと、大袈裟だけど。
京浜急行の路線には、こういう、風景が、今も、残っているようだ。
駅北側の、東西に伸びる、細い通りを、西へ歩く。
高架を潜り、少し、進むと、通りの北側には、六郷温泉。
温泉とあるので、もちろん、銭湯ではなく、温泉なのだが。
お湯は、黒湯。沃度の濃い、東京湾周辺の典型的な、湯質。
といっても、こういうところで、ゆっくりと寛ぐ、習慣がないので、立ち寄ることは、なかったけど。
ところで、なんで、こんな場所に、温泉があるのだろうか。
おそらく、かなり昔、戦前の頃、京浜急行、大森、蒲田の東側、海岸近くは、都心近場の観光地だったからではないかと思う。
六郷温泉が、開業したのは、戦後のことだが、かつての観光地の流れを、引き継いでいるに違いない。
たとえば、今はもうなくなってしまったが、新宿十二社天然温泉も、そういった、温泉だったろう。
新宿の西側、角筈は、江戸時代の行楽地。江戸時代が、終わっても、しばらくは、都心近場の観光地だった。
観光地としての、役割が、終わったしても、取り残された場所として、ひっそりと、存続。
それが、昨今の、地心回帰、都心集中化により、都市の波に呑み込まれ、消滅してしまったのだ。
六郷温泉のある一帯が、そうなるとは思えないけど。
ただ、先のことはわからない。
いつまでも、残っていて欲しいものだな。
(2009年9月記)