日比谷線神谷町駅(虎ノ門六本木地区市街地再開発工事現場)

虎ノ門六本木地区市街地再開発工事現場

西へ歩いていくと、上り坂になっていく。
坂上は、六本木の台地。
そのまま、どんどん、上っていくと、目の前には、広大な工事中の敷地が現れる。
虎ノ門六本木地区市街地再開発の工事現場だ。
まだ、かなりの部分、更地にはなっていず、建物の解体中。
まるで、何かの、恐ろしい、災害の爪あとのようだ。
この、瓦礫の山を見ていたら、ふと、「ALWAYS三丁目の夕日」続編の冒頭、ゴジラが、尻尾で、家々を、薙ぎ払った跡の光景を、思い出してしまった。
映画の中での、この冒頭シーン、茶川さんの、没原稿のイメージなのだけど。
ところで、たしか、ゴジラ、というのは、戦争の暗喩なはず。
もはや、戦後ではない、戦争は、遠くなりにけり、といった、高度成長期にあって、ゴジラは、リアルな恐怖ではなく、娯楽色の強いスペクタクルだったのだ。
つまり、その背景には、戦後を、なんとか、克服した、磐石の、市民生活があったに違いない。
ゴジラごときに、破壊されよう筈もない、確かな日常。
「ALWAYS三丁目の夕日」の世界でも、すでに、ゴジラは、ちょっと前に、大ヒットした、人気映画に、すぎなかったのだが。
ということで、茶川さん、二番煎じみたいだけど、原稿用紙に、ゴジラを、登場させてみたのだろう。
でも、その原稿、くしゃくしゃにして、没にしてしまう。
なぜだろうか。
たぶん、茶川さんのゴジラは、娯楽などではなく、本当に、自分たちの、市民生活を、破壊してしまう、リアルな、怪物だったからじゃないかな。
だから、恐ろしくはあっても、娯楽でもないし、売れるわけもないので、没にしたのに違いない。
ならば、今、目の前の、瓦礫の山、「ALWAYS三丁目の夕日」続編の冒頭のゴジラ、茶川さんの想像した、恐ろしい、怪物の仕業なわけだ。
ちょっと、考えすぎかな。
(2009年11月記)