中央線三鷹駅(三鷹駅北側玉川上水)

三鷹駅北側玉川上水

三鷹駅北口を、西へ歩くと、すぐに、玉川上水
三鷹駅の北西側から、駅直下を抜け、南東方向へと、流れている。
そういえば、ここから上流、桜橋という橋が、架かっている場所があるのだが。
その場所は、国木田独歩が、最愛の妻と、初めて、逢瀬を、楽しんだところらしい。
だが、その、妻には、すぐ、逃げられてしまっている。
そのとき、受けた、深い、心の傷を、癒すように、渋谷の地に、移り住み、そして、「武蔵野」を、書き上げたのだ。
だから、やはり、「武蔵野」の中の武蔵野は、この世のものではない、郷愁の彼方、と考えた方が、いいのかもしれない。
渋谷から、西側を、望んだとき、国木田独歩の、心の中には、現実の武蔵野ではなく、美しい思い出が、そこに見えていたはず。
それが、「武蔵野」の中の武蔵野、なのかな。
だとすると、たんに、雑木林があって、畑があって、田園のような場所で、都心から、ちょっと離れている、そんな場所は、たいてい、武蔵野に入ってしまうわけだ。
ところで、玉川上水、というと、江戸時代、開削された、飲料用の、人工河川。
飲料用だからか、水質の維持、あるいは、護岸の保全のため、その、流域は、雑木林が、よく、保存されている。
ただ、水道が、整備されると、飲料用の人工河川は、ほとんど、無用の長物。
高度成長期を経て、流水は、停止状態だったことがある。玉川上水は、そのまま、埋められてしまうのでは、と思われたけど。
でも、その後、バブルの初め頃に、下水の水を使ってだが、無理やり、水流は復活。
今は、もとの通り、流れの中、鯉が泳いでいたりしている。
玉川上水の、自然と歴史テーマパーク、といったところか。
国木田独歩の、郷愁の彼方にあった武蔵野が、現実のものになったのかどうかは、わからないが。
(2010年1月記)