東武亀戸線亀戸水神駅(亀戸水神駅駅舎)

亀戸水神駅駅舎

亀戸水神宮から、細い道を、東へ。
少し、歩くと、亀戸水神駅。
小さな、辺鄙な駅だ。
亀戸水神宮も小さいけど、その名を、冠した、この駅も、小さい。
さらに言えば、亀戸水神駅を通る、東武亀戸線は、都心近くにありながら、忘れ去られた、ローカル線の様相。
だが、実は、東武亀戸線、開通した当初、昭和の初め頃は、東武伊勢崎線の、本線だったのだ。
だから、ひょっとしたら、一帯には、商店街もあって、少しは、賑やかだったのかもしれない。
ところが、曳舟から、浅草まで、枝線を、伸ばしたら、いつしか、そちらの方が、本線になり、東武亀戸線が、枝線になってしまった。
栄枯盛衰。よくある話だ。
とにかく、今は、すっかり、忘れられていて、ひっそりとしている。
亀戸水神宮は、亀戸天神と違って、訪う者も、ほとんどいない。
ただ、なくなってしまうよりは、ずっといいはず。
寂れていようが、廃れていようが、あり続けることが、大切なのだ。
そんなことを考えながら、踏切を渡り、ホームへ。
2両編成の車両、東武亀戸線に乗り込む。
でも、あり続けることこそが、実は、もっとも、難しいのかもしれない。
そう気付くと、この、忘れ去られた街並み、とても、とても、儚いものに、思えてしまう。
2両編成の車両は、南側から西側へと、大きくカーブを描きながら進み、そのたび、古い街並みは、車窓から、徐々に、消えていくのだ。
(2010年7月記)