丸の内線本郷三丁目駅(東京大学 三四郎池)

東京大学 三四郎池

世間では、穴倉かもしれないが、野々宮にとって、むしろ、華やかな、場所、なのかもしれない。
いったん、学校に入り、外のことが、見えなくなると、そうなるのかな。
まあ、それで、生活が、成り立てば、いいのだろうけど。
ただ、一般的には、かなり、難しい。
余裕のある、豊かな時代なら、いざ知らず、明治時代なら、なおのこと、難しいに、違いないはず。
だから、世間では、穴倉、袋小路。
三四郎も、そう思ったかどうかわからないが、そんな気分で、東京大学構内を、東へ、歩いていく。
しばらくすると、木々の、鬱蒼と茂る、一帯。
そして、密林の中には、まさに、巨大な、穴倉のように、窪んだ、地形。
試みに、その、巨大な、穴の底に、下りてみると、静かな池が、ある。
三四郎池、なのだが、こんな、穴の底に、あるとは、思わなかったな。
もともと、東京大学の敷地は、加賀藩上屋敷だったので、庭園の、池だったのかもしれないけど。
それはそうと、穴倉を実感しながら、歩いていると、本当に、巨大な、穴倉に、辿り着いてしまうというのは、とても、印象的。
そのような、穴の底に、行き着いた、三四郎、ふと、見上げると、そこには、きれいな女性。
しかも、こちらに、一瞥。去り際に、花、一輪を、落としていく。
これは、間違いなく、心、揺さぶられるな。
(2011年6月記)